所有者不明土地ガイドブック~迷子の土地を出さないために!~11
1.はじめに ……………………………………………………………………… 1
(1)所有者不明土地とは …
(2)所有者不明土地の問題点
(3)所有者不明土地対策に関する制度の現状
(4)本ガイドブックの使い方
2.既に発生している所有者不明土地を解消するための既
存の施策
3.所有者不明土地の解消に向けた民事基本法
制の見直し
< 所有者不明土地の発生を予防する方策 >
(1)不動産登記制度の見直し
(詳しくはこちら)
① 相続登記の申請の義務化
(令和6年4月1日施行)
相続が発生してもそれに伴って相続登記がされない原因として、㋐これま
で相続登記の申請は任意とされ、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益
を被ることが少なかったこと、㋑相続した土地の価値が乏しく、売却も困難で
あるような場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をする意欲がわき
にくいことが指摘されてきました。
しかし、相続登記がされないと、登記簿の情報は古い状態のままになり、こ
の状態が長年放置されることが所有者不明土地増加の一因となっていました。
そこで、所有者不明土地の発生を予防するため、相続登記の申請が義務化さ
れました。
相続登記の申請義務についてのルール
A 基本的なルール
相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所
有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしな
ければなりません。
B 遺産分割が成立した時の追加的なルール
遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人
は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記
を申請しなければなりません。
C 義務に違反した場合
A・Bともに、正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以
下の過料の適用対象となります。
相続登記の申請義務は、改正法の施行後に発生した相続のみならず、施行日
(令和6年4月1日)前に相続が発生していたケースについても適用されま
す。この場合、❶改正法の施行日(令和6年4月1日)、❷それぞれの要件を
充足した日のいずれか遅い日から3年以内に相続登記の申請をしなければな
りません。
相続登記の申請の義務化と併せて、相続登記の手続を簡素化・合理化するた
め、次の②~④の仕組みが新たに創設されました。