所有者不明土地ガイドブック~迷子の土地を出さないために!~10
1.はじめに ……………………………………………………………………… 1
(1)所有者不明土地とは …
(2)所有者不明土地の問題点
(3)所有者不明土地対策に関する制度の現状
(4)本ガイドブックの使い方
2.既に発生している所有者不明土地を解消するための既
存の施策
② 表題部所有者不明土地解消作業の実施
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律
令和元年11月から実施
歴史的経緯により、登記簿の表題部所有者欄の全部又は一部が正常に記録
されていない土地(表題部所有者不明土地)(※1)については、所有者不明土
地の中でも、氏名や住所の記録がないため、戸籍や住民票等による所有者調査
の手掛かりがなく、所有者の発見が特に困難であり、地方公共団体等における
用地取得や民間取引において、交渉の相手方が全く分からず、用地取得や民間
取引の大きな阻害要因になっています。
(※1)表題部所有者不明土地
(正常な表題部所有者の登記の例)
(表題部所有者不明土地の例)
① 住所の記載がない土地(単有・共有) 「A」
② 字持地 「大字○○」
③ 記名共有地 「A外○名」
このような表題部所有者不明土地について、登記官は、地方公共団体等の要
望等を踏まえ、所有者の探索を行っており、その探索により特定した所有者を
登記簿の表題部所有者欄に登記しています。
一方、所有者の特定ができない場合もあり、このような場合には所有者が特
定できなかったこと等を表題部所有者欄に登記することになります。この場
合、利害関係を有する地方公共団体等は、裁判所に対して管理人(特定不能土
地等管理者等)の選任を申し立てることができ、裁判所が選任した管理人との
間で土地取引を行うことにより、その土地の所有権を取得することができま
す(土地取引の売却代金は所有者のために供託されます)。
○ 表題部所有者不明土地解消作業の成果の例
広島県東広島市が実施する道路整備事業の予定地区の一部に、表題部所
有者不明土地(ため池)があり、東広島市からの要望に基づき表題部所有者
不明土地解消作業が実施された結果、土地所有者を特定することができ、東
広島市による用地取得が円滑に行われました。
<表題部所有者不明土地解消作業の結果>
解消前(表題部所有者は「共有地」)
法務局による解消作業の実施
1.現地の特定(土地の位置の特定、利用状況の確認)
2.表題部所有者の調査(資料の調査、関係者からの聞き取り等)
→調査結果から表題部所有者が「○○区」(認可地縁団体)と特定
3.調査結果を踏まえた、登記官による所有者特定書の作成
表題部所有者不明土地解消作業により所有者が特定