所有者不明土地ガイドブック~迷子の土地を出さないために!~9
1.はじめに ……………………………………………………………………… 1
(1)所有者不明土地とは …
(2)所有者不明土地の問題点
(3)所有者不明土地対策に関する制度の現状
(4)本ガイドブックの使い方
2.既に発生している所有者不明土地を解消するための既
存の施策
「所有者不明土地」の解消に向けて、全国の法務局では、公共事業の実施主体
である地方公共団体や地方整備局からの要望等に基づき、所有者不明土地解消
のための事業を実施しています。
① 長期相続登記等未了土地解消作業の実施
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
平成30年11月から実施
公共の利益となる事業を実施する地域の中に、長期間(死亡後30年(※1)
以上)にわたり相続登記がされていない土地がある場合、登記官が、当該公共
の利益となる事業の実施主体(地方公共団体・地方整備局)からの求めに応じ
て、法定相続人を探索し、その結果を法定相続人情報(※2)として登記所へ
備え付けるとともに、当該公共の利益となる事業の実施主体に提供すること
により、事業実施主体が公共の利益となる事業を円滑に実施できるようにす
る制度です。
(※1)令和4年4月1日から10年になります。
(※2)法定相続人情報の例
登記名義人
出生 昭和 9年〇月〇日
死亡 平成13年〇月〇日
住所 東京都中央区△△
出生 昭和34年〇月〇日
(六男)(長女)
法 務 太 郎
法 務 優 子
住所 東京都千代田区△△住所 東京都品川区△△
出生 昭和10年〇月〇日出生 昭和38年〇月〇日
(妻)(次女)
法 務 花 子
法 務 町 子
○ 長期相続登記等未了土地解消作業の成果の例
★平成29年7月九州北部豪雨復旧・復興事業(福岡県朝倉市)
記録的豪雨の影響により市内各地で災害が発生し、速やかに復旧工事を
進めるため、朝倉市からの求めに応じ、朝倉市の土地約2,000筆の土地に
ついて、登記官が800人を超える登記名義人の法定相続人の探索を実施し
ました。法定相続人情報の活用により所有者探索が大幅に省力化されまし
た。
<被災地域(志波地区)の復旧の様子>(出典:朝倉市)
★平成30年7月豪雨災害復旧事業(岡山県倉敷市)
甚大な被害が生じた真備地区の土地約1,600筆の土地について、登記官
が700人を超える登記名義人の法定相続人の探索を実施しました。法定相
続人情報の活用により所有者探索が大幅に省力化されました。
<末政川復旧工事の様子>(出典:岡山県)
このほかにも、道路整備事業、土地区画整理事業、土地改良事業など、幅広
い公共事業の実施に当たり、地方公共団体や地方整備局から要望をいただい
ており、法務局は、公共の利益となる事業の円滑な実施に寄与しています。